ビジネスモデルの理解から始める業務設計
忙しいというお悩みに対して、効率化ツールを入れることは本質ではありません。「どこをテクノロジーに任せ、人はどこに時間を使うか」という設計は、ビジネスモデルの理解なしには決められません。TOMOSEはビジネスモデルや既存の業務プロセスの整理から始めることで、「入れたけど使われない」「効率化したけど売上が変わらない」を起こしません。
ケーススタディ
「引き合いを待つ」から「案件を作る」へ
受注処理に追われていた営業組織の構造転換
お客様について:【業種】建材専門商社 【ご担当者様】営業課長 【売上高】500億円程度 【社員数】約150名
「最初は案件もないお客様に営業をすることへの抵抗があったメンバーも多かったが徐々にお客さんの課題にどう貢献できるかに意識が向いていて、働きがいをもって動けているのかなと思います。
「お客様に新商品の紹介をしてほしいのに、忙しいことを理由に動いてくれない。」そんな相談から始まりました。 ある専門商社の営業課長様からのご相談でした。 営業現場には毎日、クライアントからの仕入れの相談・依頼が次々と届きます。スペックの確認、見積もりの作成、仕入れ先への照会と回答確認。一日中、クライアントと仕入れ先の双方とのやり取りに追われる状態が続いていました。 実態としては「いつものお客様に、いつもの商品を発注してもらう」案件がほとんど。しかし会社からは、売上目標の引き上げと、高付加価値商品の販売による営業利益率の向上が求められていました。
それでも、高付加価値商品を売るという動きは現場に広がらない。忙しい営業メンバーに余力が生まれない。そういった状態が続いていました。
お客様の話を聞いていくうちに、問題の構造が見えてきました。 業務の中心は、既存のお客様から指名で受ける汎用品の受注処理対応でした。納期の確認や見積もり、仕入れ先への照会と回答、発送手配。決まったお客様と決まった商品のやり取りを、速く・ミスなくこなすことが、日々の業務の大部分を占めていました。 一方で経営・部長レイヤーからは、高付加価値商品を新しいお客様に売る、新しいサプライチェーンに入り込む、という動きが求められていました。売上の新しい柱を作り、営業利益率を上げるためには、その方向に進まなければならない。その認識は共有されていました。
既存のお客様からの汎用品の発注対応に求められるのは「問題を起こさないこと」です。納期までに、ミスなく納品する。それが最も重要なことでした。 ところが、高付加価値商品の新規提案に必要なことはまったく別物です。商品の必要性をお客様に啓蒙する。今必要じゃなくとも、ニーズが発生したタイミングで相談されるような関係性を日頃から作っておく。あるいはそもそも「誰が買ってくれるのか、そのお客様とはどうやったら出会えるのか」から考えて動く。同じ営業でも求められるものが大きく異なるのです。 この種別の異なる営業のやりかた2つを同じ営業部署の同じメンバーが同時にこなさなければならない状態になっていた。それが問題の核心ではないかとお伝えしました。
評価軸:問題を起こさないこと
営業メンバー
評価軸:案件化・新規売上への貢献
また、上がり続ける売上目標への対策として、営業人数を増やすことが検討されていました。しかし、労働人口が減っていく中で人を増やし続けてなんとかするという方針は現実的に難しくなっています。 加えて、仮に人を増やしても、汎用品対応と高付加価値提案がごちゃ混ぜになった状態のまま配置すれば、同じ状況が繰り返されるだけです。問題は人数ではなく、「誰が何にどう時間を使って利益率や生産性を高めるか」という構造設計が不明瞭であることにありました。
TOMOSEが提案したのは、「人を増やさず事業を伸ばすモデル」への転換でした。そのための軸は「汎用品の発注処理対応」と「高付加価値商品の新規開拓活動」を分けることでした。
分類の基準に使ったのが、想定LTV(お客様あたりの長期的な利益見込みの総額)です。
| 顧客の分類 | 対応方針 |
|---|---|
| 想定LTVが低い案件(粗利率が低い・小口の定期発注が中心など) | テクノロジー中心に対応。営業は、関係維持におけるコア業務にのみ注力する |
| 想定LTVが高い顧客・高くなりうる案件 | 営業にしかできないことに時間をかける。顧客管理や顧客外部情報の取得などはテクノロジーを使って開拓業務に集中できる体制を構築 |
想定LTVの低い顧客については、人が毎回対応しなくても安定して価値提供できる仕組みを作りました。
営業が一日中メールや電話で対応していた「いつもの受発注」に使っていた時間を、構造的に圧縮しました。対応する営業担当の人数も減らしつつも、全てシステム化するのではなく、何かあった際にすぐ営業現場のメンバーがフォローできる状態を維持しました。
想定LTVの高い既存案件の関係維持や、高付加価値商品を販売出来るお客様に対する新規開拓活動を実現するための売り方をゼロから設計しました。ターゲット顧客の整理から、長期的に関係を構築するための顧客管理方針まで、業務プロセス全体を変える必要があると判断し、以下を同時並行で進めました。
| 対象 | やったこと |
|---|---|
| ターゲット顧客と商品 | LTVが高くなるお客様像と提供商品を再定義 |
| マーケティング | そのお客様と出会うための接点・発信方法を見直す |
| Webサイト | ターゲット顧客の課題を解決する情報設計・体験設計へ刷新 |
| 営業の体制・動き方 | 新規開拓と関係構築を中心とした専任メンバーの選定。お客様の課題に対してコミュニケーションする営業スタイルへ |
| 顧客管理(CRM) | 課題と本格検討タイミングを押さえて、重要なタイミングで関われる顧客管理の仕組みを再構築 |
(参考)支援の期間・費用について:現状整理・目線合わせから始め、受発注基盤の構築と売り方のアップデートを段階的に進めるケースが多いです。期間・費用はご支援の範囲によって異なりますので、詳しくはお話しの中でご案内します。
| 機能・場面 | 変化前 | 変化後 |
|---|---|---|
| 日々の受注処理対応 | 営業が一日中メール・電話対応に追われる | システム対応をベースに。営業リソースを、お客様との関係維持や開拓に関するコア業務中心に |
| 新商品・提案営業 | 余力がなく、手が回らない | 専任メンバーをアサインし、LTVの高い案件への提案準備に集中でき体制に |
| 売り方のスタンス | 「引き合いが来たら対応する」受け身の営業 | 「このお客様に売れるんじゃないか?」という能動的な姿勢が増えた |
まだ数字に大きく反映されている段階ではありませんが、現場の働き方そのものが変わりました。受け身の対応から、お客様の役に立つことを考えながら動ける状態へ。「どうすればお客さんに役立てるか」に少しずつ意識が向くようになったと聞いています。 一方で、「どのお客さまをどの対応方針に分けるか」という判断基準は、一度決めて終わりではありません。 発注回数や発注量の多いお客様は「今まで営業が直接対応してくれていたのに、システムを通して購入する形に変わる」という変化に違和感を覚える方もいます。営業メンバーも同様です。発注量が多いお客さまを大切にしたいという気持ちは自然なものですし、現場の営業メンバーの中にも、「目の前のお客さまへの対応を大事にしたい」という想いから、全体方針への納得感がまだ追いついていないメンバーもいます。 また、LTVの高低できれいに分類しきれない、グラデーションや例外的なパターンも出てきます。「現状は小口だが、将来大きくなる可能性がある」といった狭間にいるお客さまの扱い方は、暫定の判断基準を設けながら、実際の対応を積み重ねて都度見直していく作業が続いています。 お客さまの満足度と社内メンバーの納得感の両方を高めながら、対話と改善を続けていくプロセスとして、取り組みは続いています。
「営業現場は忙しくて目の前のことに対応するので精一杯でした。本PJにおいては最初は案件もないお客様に営業をすることに抵抗があったメンバーも多かった。ただ、今ではお客さんの課題や、どう貢献できるか?に意識が向いているように見える。開拓営業へのやりがいを持って日々時間を過ごしているのを感じとれていて、そういった面でも良かった」
忙しいというお悩みに対して、効率化ツールを入れることは本質ではありません。「どこをテクノロジーに任せ、人はどこに時間を使うか」という設計は、ビジネスモデルの理解なしには決められません。TOMOSEはビジネスモデルや既存の業務プロセスの整理から始めることで、「入れたけど使われない」「効率化したけど売上が変わらない」を起こしません。
ECサイトや会員向けサイトなどの受発注基盤は、お客様も使いやすく・自社にとっても運用しやすい形で構築する必要があります。TOMOSEは大規模なWebサイト・業務システムの構築実績が豊富なため、現場で活用される基盤づくりが可能です。
TOMOSE自身も「引き合いを待つ」から「案件を作る」売り方への変革を実現・経験しています。ターゲットの見直し、Webサイトの刷新、顧客管理システムの再構築。同じことを自分たちでやってきたからこそ、障壁や乗り越え方を理解したうえで伴走が可能です。
まずは「自社にとって相性の良いお客様とはどんな方か」「今の営業組織がどんな事業・組織になることが理想か」といった観点でお話を聞かせてください。「営業が本来時間をかけるべきこと」が見えてくると、取り組みの優先順位が整理されてきます。まずは話してみるところから、お気軽にご連絡ください。