TOMOSEパートナーズ株式会社

お客様との対話集

「引き合い対応」だけでは届かない顧客へ、どう提案するか

化学品専門商社が挑んだ、事業戦略起点のサイト刷新と“共通言語”づくり

豊通ケミプラスとTOMOSEの関係者が並ぶ集合写真

BtoB企業にとってWebサイトは、もはや情報発信の器ではなく事業戦略の中核です。にもかかわらず、リニューアルの現場では「サイトをどう作るか」が先行し、「事業としてどうありたいか」が置き去りになりがちです。 化学品専門商社である豊田通商グループの豊通ケミプラス様は、技術情報サイト「添加剤.com」の刷新において、複数ベンダーを比較検討した上で、事業課題に寄り添い“共通言語”を作れる伴走者として当社を選びました。 今回は、プロジェクトの過程で課題となった「両社間での認識のギャップ」「汎用品と高付加価値品の両立」「プル型とプッシュ型の営業変革」についてどのように前進を図ったのかを振り返ります。

出会いはウェビナー。 ベンダー選定の決め手は「事業に寄り添う対話」

豊通ケミプラス 菅本氏、前田氏(左から順に)

2年ほど前から「添加剤.com」のデータ活用と改修の必要性を感じ、私一人で情報収集を始めていました。きっかけはBeMARKEのウェビナーで、その後に会社紹介を兼ねてTOMOSEさんと話をしました。最後に「サイト改修も相談できますか?」と聞いたところ「できます」と。そこから提案をお願いして前に進みました。

前田様の写真
豊通ケミプラス前田様

当時、前田が複数のベンダーさんと話をしていて「面白い会社がある」と紹介されました。組織変更で私の所属部門がサイト改修プロジェクトの主体となったため、メイン担当として合流しました。最初の印象は「事業に寄り添ってくれる会社」です。他社は“サイトが主語”の話が多かったのですが、TOMOSEさんは“会社としてどこへ向かうのか”という事業視点での対話が初期からありました。

菅本様の写真
豊通ケミプラス菅本様
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TOMOSE山下

初回は4名でオンライン、その後ご訪問して議論を深めました。私たちも過去に自社の営業やマーケティングで目先の数値に引っ張られて本質を見失う失敗を経験してきたので、同じ轍を踏まないよう、”目指したい事業のあり方”から要件を詰めることを意識しました。

要件定義のパートナー選定は4社比較でした。コストだけ見れば正直他社さんのほうが安かったです。コストだけで決めて良いのか?という疑問もあり、私たちは「コミュニケーションの質」「理解しようとする姿勢」など定性的項目もスコア化しました。結果、コスト以外のほぼ全項目でTOMOSEさんが満点だったのが決め手です。他社は「それはできません」と機能単位の限定回答が中心でしたが、TOMOSEさんは「目的を実現するにはこの費用が必要」という整理が明確で、上層部に「このパートナーとこの費用が必要だ」と説明できました。

前田様の写真
豊通ケミプラス前田様

「ニーズ」という言葉の罠。 認識のすれ違いから“共通言語”を作る

要件定義の初期のタイミングだったと思いますが、私たちが言っている「顧客ニーズ」と、TOMOSEさんが捉えている「ニーズ」に少しズレがあるかもしれないと感じました。もちろん、高付加価値品を売っていきたいという思いはありました。ただし、既存の汎用品の売上や顧客基盤を置き去りにしたいわけではありません。添加剤.comの強みは、多様な問い合わせや課題が入ってくることでもあります。そこから、お客様の困りごとを把握し、今ある商材で応えるだけでなく、足りないシーズ(=お客様の課題に当て込める技術や商材 )やサプライヤーを広げていく。そういう意味で「ニーズを獲得したい」と考えていました。

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豊通ケミプラス前田様
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TOMOSE山下

当初、私たちはその「ニーズ」という言葉を少し広く捉えすぎていました。「高付加価値品を売るなら、エンドユーザーや最終製品メーカーのニーズを取りに行くべきではないか」と考えていたんです。しかし、議論を重ねる中で、それは豊通ケミプラスさんの商流や事業構造を十分に踏まえきれていない提案だったと気付きました。必要なのは、商流を飛び越えて市場ニーズを広く拾うことではなく、添加剤.comに来るお客様の課題や検討背景を、営業や提案に使える情報として蓄積していくことだったんだと理解しました。

私たちとしては、既存の汎用品ビジネスを維持しながら、高付加価値品の上積みを作りたいという前提がありました。ただ、その前提をうまく伝えきれていなかった部分もあったと思います。高付加価値品を売りたいという話だけが強く伝わると、「既存の領域はもう重要ではない」と受け取られてしまうかもしれない。会議後に、そこは説明の仕方を間違えたかもしれないと社内でも話していました。

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豊通ケミプラス菅本様
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TOMOSE柴田

その後、豊通ケミプラスさんから商流や顧客との関係性を具体的に説明いただいたことで、ようやく目線が合ってきました。例えば、「このお客様は何に困っているのか」「どの用途で検討しているのか」「どの商材を提案できそうか」まで判断できる情報を取ることが大事だと分かりました。

汎用品か高付加価値品か。 “両利きのサイト戦略”に至る転換点

「ニーズ」という言葉の意味をTOMOSEさんとすり合わせていく中で、改めて見えてきたのは、汎用品と高付加価値品のどちらか一方を選ぶ話ではないということでした。現行の「添加剤.com」は、すでに欲しい製品が決まっているお客様からのサンプル依頼が中心です。これは当社にとって大切な接点であり、既存の売上や顧客基盤を支える入口でもあります。一方で、サンプル依頼だけでは「すでに欲しい商品が決まっているお客様」への対応にとどまりやすい。今後は、まだ商品名までは決まっていない相談や問い合わせも拾い、高付加価値品の提案やサプライヤー拡充につながるニーズとして蓄積していく必要性を認識しました。

菅本様の写真
豊通ケミプラス菅本様
山下の写真
TOMOSE山下

当初、私たちは「構造式検索」や「データベース機能の強化」など、商品を探しやすくする機能面に意識が向いていました。ただ、豊通ケミプラスさんと対話を重ねる中で、検索性を高めるだけでは、今回の改修で目指す姿には届かないと分かってきました。 商品を探しやすくすることは、既存の汎用品のサンプル依頼を支える上で重要です。一方で、それだけでは、まだ具体的な製品にたどり着いていないお客様の課題や検討背景を拾いにくい。添加剤.comを「商品を探してもらう場所」としてだけでなく、「相談や問い合わせを通じて、次の提案につながる情報を集める場所」としても設計する必要があると理解しました。

サンプル請求と問い合わせでは、入ってくる情報の性質が違います。サンプル請求は、欲しい商品がある程度決まっているお客様への対応です。問い合わせには、お客様が何に困っているのか、どんな用途を検討しているのかという情報が含まれます。 その情報は、高付加価値品を提案するきっかけにもなりますし、当社にない商材であれば、新しいサプライヤーを探すきっかけにもなります。だから、汎用品の入口を守りながら、問い合わせを通じてニーズを集める。その両方を実現するサイトにしたいという考えに至ることができたのは良かったです。

菅本様の写真
豊通ケミプラス菅本様
山下の写真
TOMOSE山下

この整理によって、サイト改修のゴールは「問い合わせを増やすこと」だけではなくなりました。 サンプル請求と問い合わせの両方の接点を通じて、ターゲット企業のキーマンや関心領域が見えてくれば、将来的にはこちらから提案する営業活動にもつながっていきます。既存の入口を壊さず、かといって現状維持に閉じない。そのバランスをどう形にするかが、このプロジェクトの大きな転換点だったと思います。

「プル型」の上限を越える。 “プッシュ型”の営業をどう組み込むか

TOMOSE 植松、柴田、山下(左から順に)
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TOMOSE柴田

添加剤.comを事業基盤として捉え直したとき、次に論点になったのが、Webサイトから生まれた接点を営業活動にどうつなげるかでした。従来のサイト活用は、基本的にはお客様が検索し、商品を見つけ、問い合わせやサンプル依頼をするという流れです。これはいわゆる”プル型”(=Webサイト経由で問い合わせ・サンプル請求を受ける“待ち” )の接点で、重要な入口ではあります。ただ、検索されるキーワードや市場の検索ボリュームには限りがあります。特に高付加価値品の場合、お客様自身がまだ具体的な製品名や解決策を知らないことも多く、待っているだけでは出会えない案件もあると考えました。

当社の営業は、もともとお客様からの引き合いに対応する動きが中心です。既存のお客様から相談やサンプル依頼をいただき、それに対して適切な商材を提案していく。これは当社の強みでもあります。一方で、新しい商材や高付加価値品を広げていくには、こちらから「こういう用途に使えませんか」「こういう素材があります」と提案していく動きも必要になります。また化学品の営業の特性として、決裁者も関係者も複数いますし、”プッシュ型”(=Webで得た情報をもとに営業側から提案する“攻め” )の提案がすぐに受け入れられるとは限りません。だからこそ、単に営業スタイルを変えるというより、提案の精度を上げるための情報基盤が必要だと感じていました。

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豊通ケミプラス菅本様

私の部署では、新しい技術や市場の動きを見ながら、そこに合いそうなシーズを当て込んでいく動きが比較的多くあります。そういう意味では、プッシュ型の考え方自体には違和感はありませんでした。しかしプッシュ型といっても、闇雲にリストへアプローチすれば良いわけではありません。化学品の場合、的外れな提案をしてしまうと「この人は分かっていない」と思われてしまい次から話を聞いてもらいにくくなります。重要なのは「どの会社に行くか」だけでなく、「なぜその会社に、この商材を提案するのか」を説明できる状態にしておくことです。

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豊通ケミプラス前田様
山下の写真
TOMOSE山下

そこで、CRMや会員サイトの役割が見えてきました。名刺情報や会社名だけでは、「誰に何を提案すべきか」までは判断できません。過去にもCRM活用を試みられていましたが、 Salesforceを使っておられたときは、Webサイト上の閲覧・問い合わせ情報と顧客情報が分断され、顧客ごとの関心や行動が蓄積されにくかったと伺っています。 だからこそ今回は、サイト管理と一体化したCRMで顧客の属性や行動を蓄積し、管理の手間を抑えながら、攻めの営業につなげる設計が重要だと考えました。添加剤.com上で「どのような情報を見ているのか」「どの用途に関心がありそうか」「どんな問い合わせをしているのか」が蓄積されれば、営業が仮説を持って提案しやすくなる。つまり、サイトで得た情報を単なる問い合わせ管理で終わらせず、プッシュ型営業の判断材料として活用していく。そこが、今回の設計で重要なポイントだったと思います。

CRM上に「この商材ならこのお客様に提案できそうだ」という情報が整理されている状態は、これまであまり経験がありませんでした。だからこそ、最初は本当に機能するのかという戸惑いもありました。ただ、実際に売りたい商材が出てきたときに、どのお客様に話を持っていけばよいかが見える状態になれば、新しい営業の仕方ができるのではないかという期待があります。社内でも「面白い取り組みだ」という反応がありました。

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豊通ケミプラス菅本様
植松の写真
TOMOSE植松

もう一つの論点は、提案をどう再現性のある活動にしていくかです。ニーズや有望な顧客リストが増えても、それに対して毎回ゼロから提案を考えていては、営業活動として広がりにくい。過去の商談メモ、ミーティングの文字起こし、提案資料、反応の良かった切り口などは、すべて次の提案を作るための資産になります。CRMやAIも活用しながら、良い提案の型を共有できれば、一部の人だけでなく、より多くの営業メンバーが質の高いプッシュ型営業を実践しやすくなるはずです。

提案資料や商談の進め方をナレッジとして蓄積するという視点は、確かにあまり意識していませんでした。これまでは、提案する人それぞれが経験に基づいて資料を作っていた部分もあります。今後、添加剤.comから得られる情報が増えていけば、それをもとに仮説を立て、提案につなげる機会も増えていくはずです。そのときに、過去の良い提案や反応の良かったパターンを参考にできれば、プッシュ型の営業をより組織的に広げていけると思います。

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豊通ケミプラス前田様

「作って終わり」ではない。伴走と評価の時間軸

今回の取り組みは、サイトをリリースして終わりではないと思っています。むしろ、リリースしてからが本番です。お客様のニーズは日々変わりますし、競合サイトや市場環境も変わっていきます。だからこそ、公開後も月次で状況を見ながら、「今のお客様は何を求めているのか」「このタイミングでどんな施策が必要なのか」を一緒に考えていきたい。TOMOSEさんには、開発だけでなく、運用後も伴走してもらえるパートナーとして期待しています。

菅本様の写真
豊通ケミプラス菅本様
植松の写真
TOMOSE植松

私たちとしても、作ったものに責任を持ち続けることが重要だと考えています。リリース時点では最善だと思って設計していても、実際に運用してみると、想定と違う反応が出ることもあります。そのときに、ただ数字を報告するだけではなく、「この仮説は合っていそうです」「ここは見直した方がよさそうです」と率直にお伝えしながら、次に何を変えるべきかまで一緒に考えたい。細かなチューニングを重ねて、サイトを適切に使い続けられる状態に保つことが、私たちの役割だと思っています。

CRMや会員サイトのような仕組みは、すぐに成果が見えるものではないと思っています。実際にデータが蓄積されて、提案活動に生かされて、「やってよかった」と判断できるまでには、1年半から2年くらいはかかるのではないでしょうか。だからこそ、短期的な数字だけで良し悪しを判断するのではなく、中長期で見ていく必要があります。せっかくここまで一緒に考えてきたので、成功するときも、うまくいかないところを改善するときも、一緒に向き合っていける関係でありたいです。

前田様の写真
豊通ケミプラス前田様
山下の写真
TOMOSE山下

今回のプロジェクトでは、要件定義の段階から、豊通ケミプラスさんの事業や商流を理解しながら進めることの重要性を強く感じました。その理解は、リリース後も深め続ける必要があると思っています。ニーズを増やすこと自体は、地道に取り組めば一定の成果を出せるはずです。ただし、その先で「どの情報を営業に活かすのか」「どの施策を優先するのか」「どこを改善すべきか」を判断するには、継続的な対話が欠かせません。作って終わりではなく、運用の中で学びながら、豊通ケミプラスさんにとって本当に使える基盤に育てていきたいです。

担当者情報

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山下 航希

Koki Yamashita

BtoBマーケティングの領域で、営業から新規事業の立ち上げまでを経験。マーケティングやDXに取り組む企業を中心に、個別施策の最適化、組織のあり方と取り組みの整合性を重視している。

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植松 翔太朗

Shotaro Uematsu

業界歴10年以上。事業部長として組織を牽引。ビジネス領域から開発、運用領域まで幅広く支援。戦略設計からプロジェクト推進、運用改善、成果達成支援まで一貫して担当する。

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柴田 大輔

Daisuke Shibata

BtoB企業の営業モデル変革を支援。顧客と支援会社という関係にとどまらず、同じチームの一員として課題に向き合い、戦略立案から施策実行・運用定着まで伴走することを信条としている。

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