ケーススタディ
AIによる営業ナレッジ活用
サマリー
「動きを真似る」から「判断基準を理解する」へ
トップ営業の思考を言語化し、AIで営業プロセスに活かす仕組みづくり
お客様について:【業種】制作会社(プロジェクト型事業) 【規模】社員約50名 【売上】約6億円
お客様のお悩み
- 売上がエース営業に集中し、売り方がブラックボックス化している
- AIを活用してノウハウ共有は試みるも成果が出ず、工数だけが増大している
本質的な問題
- トップ営業の「目に見えない」の成功要因が言語化されていない
- ナレッジを営業プロセスへ組み込む設計ができていない
取り組み開始前
- トップの成功理由が不明瞭。記録・蓄積を続けても何を模倣すべきかが分からない
- ロープレ・同席がプラスオンの負担になり、工数が増え疲弊している
取り組み後の変化
- 受注の本質(合意形成力・組織開拓力)が可視化。「自分に何が足りないか」を認識できるように
- 各営業フェーズでAI活用が定着し、精度の高いアウトプットを短時間で出せるようになってきた
お客様の声
AIを作業を楽にするために使うのではなく、トップ営業の思考や行動様式を理解するために使う、という使い方に気づいてから、メンバーが顧客対話を積極的に行うようになり、主体性が高まっているように感じてます
TOMOSEとやったこと
- トップ営業の「思考」の可視化(判断基準をインタビューと商談同席で言語化し、AIで構造化)
- 営業プロセスへの組み込み(事前調査・初回商談・提案の各フェーズにナレッジ活用AIを設計・実装)
- 浸透のためのワークショップ(「なぜ変わる必要があるか」をメンバー自身が言語化する場を開催)
1. お客様のお悩み・ご状況
こんな相談から始まりました
「エース営業に依存している状況を、AIを活用してなんとか変えていきたい」 そのエース営業の方は、業界・商品知識が非常に豊富で、1,000万円を超えるような大型案件でも、お客様とゼロから関係値を築きながら条件を生み出すことができる方でした。社歴も長く、自社・他社ともに事例を幅広く知っていて、それを活かして提案できる。お客様と忌憚なく対話できるコミュニケーション能力が高く、対応スピードも速い。 一方で、ほかのメンバーは、お客様がすでに顕在化させているニーズや課題に対して商品を提案する、事例を紹介するといったところにとどまっていました。このギャップがなかなか埋まらない状態が続いていて、もっとほかのメンバーが売れるようにエース営業のノウハウを活かしたいという課題意識が強くありました。 対策として、商談を録画・録音して文字起こしを社内に蓄積する。提案書の内容をAIに読み込ませて活用できるようにする。そのAIをもとに事前調査や提案書の作成やロープレを試みる。そういった取り組みをひとつひとつ実行中とのことでした。 ただ、どれも手応えのないまま続いていました。実際の商談現場ではエース営業のようにMTGを主導することはなかなかできないまま、取り組みのための時間だけが増えていきました。むしろ、ロープレや動画を見るタスクなどが増えたことで、通常業務・社内ミーティング・お客様対応と合わせて工数的にかなりきつい、という声も出始めていました。さらに、商談に同席すればするほど「あの人のやり方は真似できるものじゃないかもしれない」という空気がメンバーの間にじわじわと漂い始めていました。 どうやってエース営業のようにみんなが売れる状態をつくるか。試行錯誤の出口が見えない状況でのご相談でした。
会社の概要
- 制作会社(プロジェクト型事業)
- 社員約50名
- 売上約6億円
- 相談者:営業支援リーダー
2. 対話を通じて見えてきたこと
担当者様や現場のメンバーの皆様との対話機会を経て、どこに本質的な問題があるかが見えてきました。
エース営業の「売れる」の正体を問い直す
まずお客様と一緒に取り組んだのは、「そのエース営業の方が、なぜ売れているのか」を掘り下げることでした。 ご相談者様と営業メンバーの皆様が共通認識として持っていたのは、業界・商品知識の豊富さ、自社や業界の事例を幅広く知っていること、対話力の高さ、対応の速さといった点でした。ただ、「仮に、他のメンバーが同じ知識や能力を持ったとして、同じように売れるか?」という視点でさらに対話を重ねていくと、違う景色が見えてきました。 そのエース営業が本当に評価されていた理由は、お客様の課題を一緒に整理しながら「事業やあなたの評価をこういう状態にしましょう」という未来ベースの話し合いをすることや、目線を合わせる合意形成のプロセスでした。担当者と共に歩むスタンスでコミュニケーションを積み重ねていたからこそ、予算がないところから予算確保のサポートができ、大型案件を生み出すことができていたのです。 もうひとつ際立っていたのは、目の前の担当者だけでなく、その先にいる組織の構造を捉えて動いていた点です。目の前の担当者が社内で上申するときの上司が納得しやすい観点でコミュニケーションを設計していました。 つまり、表面上の「知識の豊富さ」「コミュニケーション能力」という差はクリティカルな問題ではなく、お客様に営業をするうえでの視野や観点・判断基準の違いがありました。何をゴールに置くか、誰に向けて動くか、何を見て判断するかが根本的に異なっていたのです。
ナレッジ「化」の難しさ
エース営業の行動記録や提案書などのアウトプットを集めようとしてみて分かったのは「記録するだけ」になってしまうということでした。文字起こしを見ても、どこがポイントなのか分からない。商談に同席しても、要点がうまく言語化出来ない。結果として「まるっと蓄積する」「文字起こしするだけ」の状態が続き、ナレッジとして活用される手前で止まっていました。特に、あの時なぜそのテーマで話をしたのか、などといった判断基準に関する情報は、本人に聞いても曖昧な回答になり、メンバーが理解して活かせるような情報には出来ていませんでした。 加えて、情報があちこちに点在していました。録画動画はあるツールに、提案書は別の場所に、対話の中でエース営業からヒアリングしたメモはまた別の場所に。情報にアクセスする労力や手間が積み重なっていました。
ナレッジ「活用」の難しさ
もうひとつ、対話の中で見えてきたのが、AIを使ったナレッジ活用設計の難しさでした。事前調査にAIを使う、提案書の作成にAIを使う。それが各工程にプラスオンで加わっていくと、結果的に現場やレビューする側の工数は増えてしまいます。必要なのは、各工程を最適化・効率化するためにAIを使うことではなく、工程自体を変える前提でAIを設計し、活用していくという発想です。ナレッジを蓄積したAIを活用して業務プロセス自体をどう変えるかを先に設計し、運用してみるという視点が必要でした。 対話を通じて見えてきた問題は、2つでした。
- エース営業の成功要因が言語化・可視化されていない
- ナレッジを営業プロセスへ組み込む設計ができていない
3. 一緒に取り組んだこと
エース営業の「思考」の可視化
まず取り組んだのは、エース営業の視点・営業観・判断基準を言語化することでした。 「何をしているか」「何を話しているか」を記録するだけではなく、「どう見ているか」「なぜそう判断するのか」「どんな思考で営業を捉えているのか」等をインタビューと商談同席を重ねながら丁寧に引き出していきました。言語化したものは、AIエージェントを用いて構造的に整理し、事業部の営業メンバーが日常的にアクセスできるクラウドの環境に集約し、日々アップデートされるよう運用しています。
営業プロセスへの組み込み
ナレッジをクラウドに「置く」だけでは使われません。重要なのは、実際の営業活動を行う上でのプロセスの中に、ナレッジを活用することを組み込むことでした。 事前調査のフェーズでは、エース営業が重視している観点とその判断基準を蓄積し、その観点をAIを通しながら参照し、準備できる流れを設計しました。初回商談・提案フェーズでも同様に、その観点を活かしたアウトプットを出せるAIを用意しました。週1回のレビュー回も開催しAIを活用したアウトプットにおけるナレッジ情報の精度向上と、使用精度向上の機会を設けています。業務の中で活用されるように設計と実行を行っていきました。 メンバーが「使い続ける」ことを前提に設計したことで、提案書の品質安定化とレビューコストの低減を目指す取り組みが動き始めました。
浸透のためのワークショップ
仕組みを整えると同時に行ってきたのが「なぜやるのか」の理解向上活動です。ナレッジを引き出せるAIシステムを作っただけでは、メンバーが日々の業務の中で自発的に使い続けることにはならないため、数回に分けてワークショップを実施しました。 テーマは大きく3つです。「表面的なスキルではなく、エース営業がお客様に本当に評価されているのはどこか」「そのナレッジを自分の営業工程のどのタイミングで使うと、お客様への価値提供力が高まるか」「AIに代替されるのではなく、AIを使って自分のポテンシャルを高めるためにどのようなスタンスでAIと向き合うか」。 この活動は、一方的に説明するのではなくメンバー同士が考えを言葉にして意見交換することで気づきを深めるディスカッション形式で進めました。 「言われたからやる」ではなく「自分のために使う」という意識の変化が、仕組みの定着に向けての重要な土台になりました。
4. 取り組みを通して起きたこと
新しいものに抵抗の無いメンバーは、ナレッジ活用のAIシステムを使ってアウトプットの作成やお客様との商談の機会に使うなどの変化が見られました。ただ、最も難しかったのは、営業というものに対するスタンスがなかなか変わらないことでした。「お客様の要望を聞いて商品を提案・納品する」スタイルから、「お客様がまだ気づいていない課題を整理し、未来ベースで目線を合わせながら合意形成をしていく」営業スタイルへの転換は、スキルだけでなく、お客様に向き合うスタンスそのものが大きく異なります。それだけに、どう変わればいいのかが分からないという戸惑いが大きかったようで、最初の数カ月間はスタンスの変化がないように見えましたが、ワークショップを通じて対話の機会を重ねていくと、比較的ポジションの高い営業メンバーから変化が見え始めました。そこから少しずつ全体にも思考の変化が生まれてきました。 合意形成をする力、お客様の組織構造を理解する力。そういった部分に目が向くようになり、「自分に何が足りないか」を認識した上で日々の活動に向き合えるようになってきました。 各営業フェーズでAIを活用も定着してきました。初回商談の準備、提案前準備等のタイミングにおいて、重要な観点を押さえた準備ができるようになってきて、精度の高い、かつレビューコストの低いアウトプットを短時間でいったん出せるようになってきたという実感が出始めています。
6. お客様の声・TOMOSEパートナーズの特徴
ご担当者様からの声
AIを作業を楽にするために使うのではなく、エース営業の日々の思考や行動様式を理解するために使う、という使い方に気づいてから、メンバーが顧客対話を積極的に行うようになり、主体性が高まっているように感じています。
TOMOSEパートナーズならではの強み
自分たちも実践してきた、という土台
TOMOSEパートナーズ自身も、同じ課題に向き合ってきました。社内にも営業能力の差があり、エース営業への依存という状況は、かつてはより顕著でした。 取り組んできたのは、エース営業の表面的なスキルだけでなく、お客様への向き合い方、事業や課題構造を捉える視野・観点、日々の物事への捉え方。そうした思考・判断基準の部分を、ヒアリングやミーティングを積み重ねながら言語化し、全員がアクセスできるナレッジとして整備しました。 今では、社内での提案骨子の設計、提案全体の構成検討、マーケティングコンテンツの一次アウトプットのレビューといった場面でそのナレッジをベースに活用しています。自分たちも実践し続けているため、効果のあるご支援が可能です。
対話を通じて、課題の構造を可視化する
TOMOSEパートナーズの向き合い方は、自分たちができることや目の前の課題から提案を組み立てることではありません。ビジネスモデルや組織の慣習に着目し、その会社特有の課題構造が何なのかを、対話を通じて一緒に可視化することから始めます。お客様がどうありたいか、本当に解決すべき課題は何か、を起点に整理していく。未来に寄り添う力が強みです。
戦略から実装まで、自分たちの手で担う
方針を描くだけでなく、動く仕組みとして実装するところまで自分たちで担います。業務プロセスの設計・構築や、必要であれば業務システムの開発、Webサイトの設計・開発・運用、ワークショップの設計と開催まで。これらを一体で動かせることで、変化を実現するところまで伴走します。
TOMOSEパートナーズが解決できること
- エース営業の「なぜ売れるのか」が言語化されておらず、育成や仕組みづくりに活かせていない
- ノウハウを共有しようと商談の文字起こしや提案書の共有を行うが「記録・集約するだけ」で活用に至っていない
- AIを導入して、営業能力を高めようと取り組んでいるが、むしろメンバーの工数や負担が増えてしまっている
まずは「エース営業の何がお客様に本当に評価されているのか」「どのような場面でAIを活用しているか」をお聞かせください。「ナレッジが活用されない」「AIが逆に負担に...」という状況も、何を可視化すべきかを整理することで見え方が変わることが多いです。まずは話してみるところから、お気軽にご連絡ください。
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